株取引で発生する税金とは?株式投資で知っておくべき税金の知識をわかりやすく解説

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株式投資では、購入した株の株価が上がれば利益を受け取れますが、利益には税金がかかります。投資を始める前に、株にかかる税金について理解しておきましょう。

この記事では、株にかかる税金の種類や利益や損失に対する税金、確定申告の必要性を解説します。税金を減らす方法や、節税対策の注意点についても解説するので参考にしてください。最後まで読めば、株式投資に関する税金の基本知識が身につき、節税のポイントがわかります

株にかかる税金

株にかかる税金や基本的な税率について以下の内容を解説します。

  • 譲渡益課税
  • 配当課税
  • 復興特別所得税
  • 株の基本的な税率

譲渡益課税

譲渡益課税は、株を売って得た利益にかかる税金です。譲渡益課税は売却益から計算されるため、利益を得た場合には必ず支払わなければなりません。

特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば、証券会社が自動的に税金を計算し納付するため、投資家自身が確定申告をする必要はありません。一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の場合は、自分で確定申告をする必要があります。
» 株の仕組みを解説

配当課税

配当課税とは、企業から配当金を受け取ったときにかかる税金です。配当課税は、以下の2種類から選択できます。

総合課税
配当金が一定額を超えた場合に他の所得と合わせて確定申告をすることで、控除が受けられます。
分離課税(申告分離課税)
配当金の税率が一定になり、他の所得とは合算されません。

所得が高い人は、一定の税率で配当金に対する税金を支払えます。NISA口座では、受け取った配当金は非課税となるため、税金を支払う必要がありません。
» 株の配当金をもらう方法

復興特別所得税

復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源を確保するために導入されました。2013年から2037年までの25年間にわたり、所得税額の2.1%が追加で課税される仕組みです。復興特別所得税は所得税と一緒に計算され、まとめて納付します。以下の所得が対象です。

  • 給与
  • 年金
  • 不動産所得
  • 株式譲渡益
  • 配当所得 など

特に株式投資では、譲渡益や配当金にも復興特別所得税がかかります

株の基本的な税率

国内株式の譲渡益や配当金にかかる基本的な税率は20.315%です。内訳は以下のとおりです。

  • 所得税:15.315%
  • 住民税:5%

所得税には復興特別所得税も含まれています。

NISA口座を活用すれば、一定額までの利益を非課税にできるので、長期的な投資において有利です。iDeCo口座の場合には、掛金が全額所得控除対象となるため、節税効果も期待できます。税負担を軽減するために、制度をうまく活用しましょう。

株式投資の利益と税金

株を売却すると利益や損失が出ます。以下の場合にかかる税金について解説します。

  • 株を売って利益が出た場合の税金
  • 株を売って損失が出た場合の税金
  • 配当金を受け取った場合の税金

株を売って利益が出た場合の税金

株式を売って利益が出た場合、利益に対して譲渡益課税がかかります。譲渡益課税は、売却した株の売却代金から購入時の株価と手数料を差し引いた金額です。税率は20.315%で、内訳は所得税15.315%と住民税5%です。

譲渡益課税には、以下の制度があります。

損益通算
同年に取引した他の株式の損失と利益を相殺できる制度です。
繰越控除
3年間にわたる損失の繰越ができ、翌年度以降の利益と相殺できます。

申告分離課税制度では、株式の譲渡益は他の所得と分離して税額を計算します。他の所得が多い場合でも、株式の譲渡益に対する税率は変わりません。制度を活用すると税負担を軽減できる可能性があるため、制度の内容を理解しておきましょう。

株を売って損失が出た場合の税金

株を売って損失が出た場合、基本的に税金は発生しません。損失が出た場合でも、他の株の利益と相殺できる「損益通算」があります。ある株で20万円の利益があっても、別の株で10万円の損失が出た場合、税金がかかるのは利益の合計である10万円のみです。

同じ年に損益通算できなかった損失は、翌年以降3年間にわたって繰り越せる「繰越控除」もあります。繰越控除を利用するには、確定申告が必要です。

確定申告では、証券会社から発行される年間取引報告書をもとに、株の売却による損失を計上してください。

配当金を受け取った場合の税金

配当金を受け取ると所得と見なされ、所得税と住民税がかかります。ただし、多額の配当金を受け取った場合には、確定申告で総合課税を選択することで税額が控除されます。

NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、一定額までの配当金が非課税です。配当金にかかる税金を減らせるので、制度を上手に活用しましょう。配当金の受け取り方法は、以下のように複数あります。

  • 株式数比例配分方式
  • 登録配当金受領口座方式
  • 指定銀行口座方式 など

源泉徴収の有無も選択可能です。

株と確定申告

確定申告が必要な場合と不要な場合について解説します。

確定申告が必要な場合

確定申告が必要な場合にはいくつかの条件があり、次のようなケースが該当します。

  • 給与所得が2,000万円以上ある
  • 給与以外の所得が20万円を超える
  • 複数の給与収入があり、合計所得が20万円を超える
  • 年末調整を受けていない
  • 医療費控除や住宅ローン控除を受ける
  • 配当所得や譲渡益がある
  • 特定口座(源泉徴収なし)で取引した
  • 雑所得や一時所得がある

海外株式の取引による所得や、未公開株の売却益がある場合も確定申告が必要です。上記の条件に該当する場合には、期限内に確定申告をしてください。

確定申告が不要な場合

次のような場合、確定申告は不要です。

  • 年間の株式取引の譲渡益が20万円以下
  • 源泉徴収ありの特定口座を利用
  • 給与所得が2,000万円以下で他の所得が20万円以下
  • 配当金が少額で総合課税の対象外
  • NISA口座での取引による利益や配当金

» 株式投資の確定申告が必要なケースと不要なケースを解説!

株の税金を減らす方法

株の税金を減らす方法は、以下のとおりです。

  • 損益通算の仕組みを活用する
  • 繰越控除の基礎知識を活用する
  • NISAとiDeCoを活用する

損益通算の仕組みを活用する

損益通算は、同じ年に発生した株式の売却損と売却益を相殺できる仕組みです。株式で利益が出た場合は税金がかかりますが、別の株式で損失が出ている場合、損失を利益と相殺できます。節税効果があるので、損失がある場合は損益通算を活用しましょう。

複数の証券会社で取引している場合でも、各証券会社の年間取引報告書をもとに確定申告をすれば、損益通算が適用されます。配当金は損益通算の対象外です。一般口座や特定口座(源泉徴収なし口座)の場合も損益通算が適用されますが、確定申告をしなければメリットを受けられません。

損益通算を最大限に活用するためには、年間の取引を計画的に行いましょう。損失が出た場合、どのタイミングで通算するか考えて取引すると、節税効果を高められます。

繰越控除の基礎知識を活用する

繰越控除は、株式投資での損失を最大3年間繰り越し、翌年以降の利益と相殺できるため、投資家にとって有益な制度です。

損失と利益を相殺し、課税対象の利益をゼロにすると、税金を支払わなくてすみます。ただし、繰越控除を適用するためには、確定申告が必要です。繰越期間中に申告漏れがあると、その年の損失繰越は無効になってしまいます。毎年正確に確定申告をしてください。

損失繰越は個別株だけでなく、ETFにも適用可能です。繰越控除を活用すると、長期的に見て投資のリスクを軽減し、安定した投資成果を上げられます。

NISAとiDeCoを活用する

NISAとiDeCoを活用すると、株式投資の税金を減らせます。新NISAは、年間360万円までの投資が非課税となる制度です。新NISA口座で購入した株式や投資信託の利益は、無期限で非課税になります。

iDeCoは、毎月の掛金が全額所得控除の対象となる個人型確定拠出年金です。iDeCoの運用益も非課税のため、節税効果が高いです。ただし、iDeCoからの引き出しは原則として60歳までできません。

NISAとiDeCoを併用すると、長期的な資産形成に税制優遇を最大限に活用できます。長期的な視点で資産を増やすには、NISAとiDeCoの両方を賢く利用しましょう。

株の節税対策と注意点

節税対策をしないと、損益通算や繰越控除が適用されず、無駄な税金を払うことになります。適切なタイミングでの申告が節税対策の基本です。配当金を受け取った場合や、株式投資の税金に関する注意点について解説します。

配当金を受け取った場合の注意点

配当金には国内配当金と海外配当金があり、税金の取り扱いが異なります。

国内配当金
源泉徴収されるため、通常は確定申告が不要です。ただし、所得が一定以上の場合や他の所得が多い場合は、確定申告が必要な場合もあります。
海外配当金
二重課税防止措置があり、手続きが必要です。

外国税額控除を利用すると、海外で支払った税金が控除できます。

株式投資の税金に関する注意点

株式投資による利益には、譲渡益と配当金があります。譲渡益と配当金には税金がかかり、税率は20.315%です。内訳は、所得税15.315%と住民税5%で、復興特別所得税も含まれています。確定申告は、必要な場合と不要な場合があります。特定口座(源泉徴収あり)を利用すると、確定申告が不要です。

特定口座を利用しない場合や、他の所得と損益通算をする場合は確定申告が必要です。損益通算を活用すれば、株式投資による損失を他の利益と相殺できます。繰越控除を活用すると、最大3年間の損失を翌年以降の利益と相殺できます。非課税運用が可能なNISAやiDeCoを活用すれば、節税が可能です。

節税対策には、複数の口座や制度を組み合わせることが重要です。配当金を受け取る際には、住民税の申告も忘れずに行いましょう。

株と税金に関するよくある質問

株と税金に関するよくある質問は以下のとおりです。

  • 株式投資の税金はいつ支払うの?
  • 配当金の税金はどのように計算される?
  • 株式の譲渡益税はどのように計算する?

株式投資の税金はいつ支払うの?

株式投資の税金は、基本的に確定申告時に支払います。給与所得者は、年間の利益が20万円を超える場合に確定申告が必要です。一方、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、確定申告は不要です。一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を利用している場合は、確定申告をする必要があります。

納付期限は通常、翌年の3月15日までです。3月15日までに確定申告を終え、税金を納付しましょう。納付期限までに申告と納付を完了すれば、税務トラブルを防げます。

配当金の税金はどのように計算される?

配当金は、所得税と住民税の課税対象です。所得税が15.315%、住民税が5%です。復興特別所得税として所得税額の2.1%が追加で課税されています。合計税率は20.315%です。配当金は源泉徴収されるため、受け取る金額は税引き後の金額です。確定申告をすると、配当控除や総合課税を選択できます。

高い所得税率が適用される人は、総合課税を選ぶと税負担を減らせる可能性があります。

株式の譲渡益税はどのように計算する?

譲渡益税とは、株式を売却して得た利益にかかる税金のことです。売却価格から取得価格と売却手数料を引いた金額が譲渡益となります。譲渡益に対して、20.315%の税率が適用されます。

100万円で株式を売却し、購入価格が80万円、売却手数料が2万円の場合を考えてみましょう。譲渡益は以下のように計算されます。

売却価格100万円-取得価格80万円-売却手数料2万円=譲渡益18万円

譲渡益に対して税率20.315%を適用します。

譲渡益税=譲渡益18万円×20.315%=36,567円

株式の売買をするときは、譲渡益税がどの程度かかるか事前に把握しておくことが重要です。
» 株の買い方を解説
» 株の売り方を解説

まとめ

株式投資にかかる税金は、譲渡益課税と配当課税、復興特別所得税があります。株式投資にかかる税金を理解し適切に対処すれば、投資のリターンを大きくできます。

譲渡益課税は、株の売却益にかかるものです。配当課税は配当金にかかります。復興特別所得税は、一定期間追加で課税される特別税です。

税率は一般的に20.315%です。損益通算や繰越控除、NISAやiDeCoなどの制度を活用すれば、税負担を減らせます。税金に関する注意点を押さえ、適切な対策をすれば、株式投資の成功につながります。
» 株式投資の始め方を解説

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